神秘の織物
45年ほど前に、甘く、ロマンティックに歌われた「Blue Velvet」(ブルー・ベルベット)という曲をご存じでしょうか?Bobby Vinton(ボビー・ヴィントン)の大ヒット曲です。そしてこの曲がタイトルとなった映画がDavid Lynch(デヴィッド・リンチ)監督の狂気のサスペンス映画として25年近くたった今も心惑わされる「Blue Velvet(ブルー・ベルベット)」です。映画の冒頭では妖しげにゆらめくブルーのベルベットカーテンをバックにしたクレジットが流れた後、甘いゆったりとしたこの曲”Blue Velvet”が流れ、白い木製のフェンスに赤いバラをはじめにノースカロライン州にある物静かなLumberton(ランバートン)の町の風景が広がります。内容は割愛しますがデヴィット・リンチ監督らしい映像ですので興味のある方はご覧ください。ツインピークスが好きな方は観た方がいいでしょう。
さて、本日はベルベットのお話です。
ベルベットは織物の名称で、別名ビロードとも呼ばれソフトな感触や深い光沢感で古よりドレスやカーテン、ナポレオンの戴冠式のマントなどに使われてきました。13世紀イタリアが発祥の地とされ日本には約500年前に渡来したといわれています。ベルベットが工業的に国産されたのは昭和にはいってからで現在では福井県 京都府などが主要生産地となっています。
ベルベットの織り方には特徴があり、開発されるまで大変な苦労がありました。ベルベットは平織、綾織等2枚の織物の間にはじめからパイルを織り込みそれを再び2枚に切り分けます。最初パイルがつながって袋状になったものが織機についたナイフで切り開かれることにより同時に二枚の生地が織り上がります。したがって、袋になったときは内側になっていた部分が表のパイルになります。ベルベットの特徴である柔らかい手触りはパイルの部分に触れることにより得られます。
また、ベルベットには明るく見える方を順毛(じゅんげ)、暗く見える方を逆毛(さかげ)といい、それぞれの用途で使い分けます。エレガントなものは順目で使用し光沢感を印象付けたりします。
カジュアルウェアーが多い現在、ベルベット素材を取り扱うブランドも少なくなりました。あまりにもその光沢感やラグジュアリー感が前面にでてくるベルベットは敷居が高くなったのかもしれませんね? それでも毎年ランウェイの花形を飾るのです。


